④第1期埋立護岸の利活用

都市計画課、みどり公園課の職員さんから、埋立護岸をめぐる現状についてお話いただきました。

第一期埋立護岸の現状としては、表面を覆うコンクリートに亀裂が入っていて危険、防音壁や目隠しとして役立っている、道路通行の妨げになっているなどなど。海から離れ本来の機能を失った護岸は、別の機能をうまく創出しかねている状況と捉えられます。護岸の今後の利活用について住民の意見は、護岸を修復保存を希望する声、新しい防音壁への立て替えを希望する声が半々で、地域によってその傾向が異なるそうです。
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管理者である千葉県、所在地である浦安市、傍らで生活を送る近隣住民、それぞれの立場の意見や思惑が絡み合っており、予想以上に複雑な課題であることを認識しました。

アーティストの二人からは、残すにしろ、壊すにしろ、地域の歴史として護岸をアーカイブしたいというアイディアが出ました。今後の利活用を考えるために、改めて護岸とじっくり向き合う機会があると良いのかもしれません。


⑤孤独死の防止

社会福祉課の職員さんより、国の調査報告書や提案書などをベースに、孤立と孤独に関する課題とそれに伴う支援や施策についてお話を伺いました。

アーティストの横山さんは過去ひきこもりの経験があります。彼女から当事者として浦安で生活して感じたことが話題にあがりました。横山さんは引きこもり時期、行政やNPOの支援はたどり着くまでのハードルが高いと感じていたと語ります。障害や高齢といった支援の枠組みに合致せず、かといってフリースクールにも行けず、親子ともに孤立した状況があったそうです。

既存の支援枠組みから零れ落ちてしまう、または支援にたどり着かない人々に、どうにかアプローチしたい。そのために学校でもない、家庭でもない、安心できる居場所があると良いのかも、という話になりました。なお浦安市では誰でも利用できる「居場所カフェ」を設けています。

埋立護岸の利活用、孤独死の防止、どちらも実は身時にあるものの、意識しないとみえない/みない課題だと言えるかもしれません。目の前にいない孤立したひと、今はみえない護岸の過去など、すこし遠い存在に思いを馳せることがキーポイントになりそうです。


text: Hatsune Yagi