浦安藝大では、2月3日(月)に高洲北小学校で、2月25日(火)に高洲中学校で、講演会や授業を行いました。


高洲北小学校

2月3日(月)の高洲北小学校では小学校6年生を対象に、キャリア教育のゲストティーチャーとして事務局の林宏樹が、自身と芸術の関わりを軸に、アートの可能性や考え方について講演を行いました。美術の道に進んだ理由や、日本画から文化財保存学の大学院に進んだきっかけ、そしてその後の活動のなかで考えてきた芸術や文化の価値や意義、そして現在携わっている浦安藝大の活動を紹介しました。人生の節目で訪れる社会的危機によって、芸術の価値や社会での役割について考えさせられ、絵を描くことを入り口にさまざまな社会課題に直面してきた半生がありました。浦安藝大は、その過程で辿り着いた実践の場でもありました。

途中難しい話があるなかでも、真剣に聞いていただき、最後はたくさんの質問がありました。ものを作る過程でも直面してしまう「思い通りにならない困難」や、一見「失敗に思えること」も、見方を変えれば新しい景色であり、その先に広がる世界はきっと意外なもので素敵なものなのかもしれない、というメッセージを伝えました。▶︎高洲北小学校HP「6年生ゲストティチャーから学びました」

浦安藝大のロゴにもある「?」ですが、何か行き詰まったときの手法として「?」を用いて、世界の常識や現実の見方を変えてみる、そしていったん前向きに受け入れてみるという考えを小学生に伝えました。


高洲中学校

2月25日(月)の高洲中学校では「TAKASU福育祭」という、福祉をテーマにした選択授業のいち講座として、事務局のマブチユウミが授業を行いました。「TAKASU福育祭」とは、中学1、2年生を対象に、行政や社会福祉協議会、地域の協力のもと「地域の方々との交流や体験活動を通して、視野を広げ、多様な価値観の形成をおこなう」という福祉教育の実践の場としての取り組みになります。

車椅子体験や高齢者疑似体験、手話や点字など多くの福祉にまつわる体験講座があるなかで、アートと福祉の連続性をテーマに講演しました。マブチは自身の活動として、全国の福祉施設や限界集落などで生活をともにしながら、「人間と人間の関係」を築くということをテーマにして展開しています。そうした活動や個人史を紹介しながら、あらためて「福祉」とは何だろう?ということを生徒とともに対話していきました。

「人間の雑味とエグみを愛して」と題した講座では、マブチのここ数日おこなった活動の紹介から始まり、なぜこのような活動をしているのかについて深掘りしていきます。まず「福祉」と聞いて何を思い浮かべるか、生徒に問いかけます。「車椅子」、「ユニバーサルデザイン」、「障がい」など多くのキーワードが出てきました。ご高齢の方や認知症の方、車椅子生活の方は、日常のことをこなすだけでもハードルがあることから、社会的援助が必要な光景を容易に思い浮かべることができます。

しかし、「生きづらい」と思うことは誰にでもあります。人と足並みを揃えることが苦手だったり、対人関係にストレスを感じたり、日常の精神的なつらさから鬱になってしまうことを契機に命が危険に晒される可能性は、この社会のどこにでも潜んでいます。生きづらさにはさまざまな種類があります。生きづらさを感じた人を支えるために、受け入れてくれる場やコミュニティが、この世にはたくさんあるということを教えてくれました。

いろんな知識や言葉を通して「福祉」という枠組みを設定しがちですが、知識がないと動けないわけでもなければ、福祉はこうだからこうしなければいけないという難しいものでもありません。困っている人がいれば声をかけたり手を差し伸べたりするという、考えなくても勝手に体が動いてしまう人間らしい営みが、すでに福祉であり、多様な価値観を認め、助け合う社会を形成します。

自分が誰かを助けなければいけないと思うのと同時に、自分も誰かに助けを求めてもいいという、逆の視点に気づくこともできました。アートを皮切りに、ふれあいや支え合いの心を考える時間になりました。


浦安藝大では、これからも市内の学校との連携を通して、キャリア教育やアートの考え方を発信していきます。今日的な社会課題へのアプローチだけではなく、未来につなぐ活動も展開し、まちづくりに貢献していきます。