1月27日(日)プレワークショップ「アルゼンチン×浦安」

プレワークショップは、これまでの活動に協力いただいた方や、ワークショップ参加者などを対象に開催し、16名が集った。

アルゼンチンで活動を終えた公募市民の平田彩と浦安藝大の事務局の畑まりあが、美浜公民館にてアルゼンチンでの「食」にまつわるリサーチや現地でのワークショップのレポートを写真を使って報告した。現地で買い物した際のレシートやマテ茶を飲む「ボンビージャ」も持参し、皆が手にとって驚きの声をあげていた。

▲マックス・ゴメス・カンレから浦安の参加者へ届けた動画メッセージも紹介。

アルゼンチンでの日常食「トルタ・フリッタ」を調理

その後、4つのグループに分かれて、アルゼンチンでの日常食である「トルタ・フリッタ」をみんなで調理。平田彩が学んできたレシピにしたがって、強力粉やラードを合わせてこね、参加者がそれぞれ好きな形に作って油で揚げた。

▲子どもから大人まで、みんなで助け合いながらアルゼンチン料理作りを楽しんだ。

皆でそれぞれ作った揚げたての「トルタ・フリッタ」をシェアしながら、アルゼンチンで親しまれているキャラメルソース「ドゥルセ・デ・レチェ」を「トルタ・フリッタ」につけておやつタイムを楽しみつつ、アルゼンチンの伝統茶「マテ茶」も飲み、ともにテーブルを囲んだ。

▲「URAYASU❤︎」の文字を形作って揚げた参加者も。


浦安らしい食文化とは何かを考える

メモや絵を描き込みながら、普段の食卓にのぼる食事や思い出の食事、浦安の食の特徴、未来にむけてこんな食があれば良いのではなどの意見交換を行った。
あるグループでは、普段よく食べるもの、作るものとしてチゲ鍋、煮物、スムージー、味噌汁など、様々な材料をたくさん入れて合わせるものが多く挙げられた。多彩な食材を混ぜ、それぞれの故郷のルーツを感じるこだわりの味付けをほどこす。移住者の多い浦安では、その多彩さをうまく融合した新たな食文化として「浦安ミックス」という概念に注目する意見も出るなど、盛り上がった。

▲色とりどりのメニューを描きながら話が弾んだ。

2月17日(土) ワークショップ「アルゼンチンの食文化を体験し、浦安の食文化を創造しよう

第一部の報告会では、34名が参加し、東京藝術大学の日比野克彦学長と畑まりあ、平田彩から主にアルゼンチンの活動の様子を報告。第二部のワークショップでは、28名が参加し、「つくる」ことと「食べる/話す」ことを行った。アルゼンチン発祥のソース(クリオージャソース)を作って食べ、浦安のこれからの「食」や「食」を通したコミュニティについて話し合った。

アルゼンチンでの活動報告とクロストーク

第一部の報告会では、畑まりあからはアルゼンチンでの活動報告とともに、浦安での対比と共通点、見えてきたキーワードが語られ、共有された。平田彩からもアルゼンチンを訪れた際の驚きや感動が語られた。名刺交換をするようにお茶を回し飲みする習慣や、感動や感謝を素直に言葉や行動で表現することの素晴らしさなども報告した。また、「浦安での3週間もマックスとあちこち歩いて、知らなかった浦安を再発見できました。ワークショップでも様々な年代の人と知り合いになれて嬉しかったです」と全体の活動も総括した。

東京藝術大学の日比野克彦学長からは「東京藝大が浦安にやって来るというと、何か名品がやってくるとか、モニュメントが立つと思っている方も多いかもしれないがアートの役割はそれだけではない。日常にある喜びや気付き、視点もアートの魅力であることを伝えたいのです。食べ物が美味しいと嬉しい、皆で食べたらもっと美味しいなんて皆言わなくてもわかってると思いますが、私たちには、それをあえて言う役割もあります」とアートプロジェクトは、アーティストと市民が一緒になって起こしていく「もの・こと」であることも語られた。

また、「海外文化を知ることで、当たり前だと思っていた、自分たちの食の文化や作法、特徴に気付けます。違う文化圏の人が入ることで、繋がりや違いを再認識できます。海外交流を通して日常を知るのです」と海外交流プログラムで得られたものが伝えられた。

▲報告会では、熱心にメモをとりながらうなずき、参加する方々の姿も見られた。

アルゼンチンの食文化を体験し、浦安の食文化を創造

第二部では、アルゼンチンのソウルフードである「チョリパン」作りと、そこにかける「クリオージャソース(クリオラソース)」作りを行った。

▲1月のプレワークショップの参加者がフォローしながら、皆、協力しあって作業分担し、手早く動いて調理。

クリオージャソースは「移民後の二世が育て、ミックスしたもの」という意味もあり、同じく移民も多い浦安で、未来を見つめて創造するこの日のテーマによく合致していた。野菜やオイル、国内外の調味料、持参した調味料なども混ぜて各自、オリジナルのソースを作成。皆で「チョリパン」を食べつつ、浦安の未来に残したい、作りたい食を語り合った。

▲アルゼンチンの伝統茶「マテ茶」を飲みつつ「チョリパン」を食べてテーブルを囲んだ。

浦安で未来に残したい食は?

4つのグループから浦安で未来に残していきたい食としてそれぞれ案が発表された。「浦焼き(おやきの皮の中に様々な具材を詰めたもの)」「浦安ぼったら(海鮮ぼったら、フレンチぼったらなど様々な種類のぼったら)」「浦安もんじゃ(海鮮や様々な地域のものを入れたもんじゃ)」「ウナオム(うなぎの蒲焼のタレやクリオージャソースをかけたオムライス)」などの独創的かつ美味しそうな案が上がり、互いに拍手を送りあった。

▲日比野克彦学長は「一緒に何か作って食べれば話も弾むし、新たな発想も生まれてくる。今日出たアイデアを実際に作って、それぞれでなんらかの方法で発信して展開して欲しい」とまとめた。

text = Mie Shida

edit = Tatsuhiko watanabe