10月26日(日)、文化会館で「ののぽと育てる浦安綿花」ワークショップを開催しました。
〈拡張するファッション演習〉第一弾としてはじまった本プロジェクト。
講師として、兵庫県西脇市で綿花を育てている北原一輝さん河野詩織さんをお迎えし、「拡張するファッション演習」ディレクターの西尾美也さん、リサーチャーの安齋詩歩子さん、さらに綿花の糸つむぎや織りの経験をもつ東京藝術大学油画科の学生5名もスタッフとして参加しました。
浦安で市民の皆さんがこの半年間育ててきた綿を使い、糸をつむぎ、布を織る。綿花プロジェクトの集大成となる一日です。

苗の配布から、ともに育てるコミュニティへ

「ののぽと育てる浦安綿花」プロジェクトは、6月に市役所で行われた綿花の苗配布から始まりました。
苗を受け取った参加者たちは、ベランダや庭、学校などさまざまな場所で綿花を育て、その成長の様子をLINEグループのアルバムで共有し合ってきました。
「葉巻虫がついたけどどうすればいいですか?」「つぼみがついたけど落ちてしまった」「ふわふわの綿が弾けました!」など、グループ内で質問し合ったり、誰かがそれに答えたり。画面越しにやり取りを重ねるうちに、自然と温かなコミュニティが生まれ、綿花を育ててみんなで見守ることが、まちの新しいつながりを生むきっかけになっていきました。

半年かけて育てた綿が、糸と布になった日

講師の河野詩織さん(左)と北原一輝さん(右)

ワークショップ当日の冒頭では河野詩織さんがスライドを使って、西脇で育てている綿花の写真や、収穫の様子を紹介しました。浦安で育てている白い綿とは異なり、西脇の畑には緑や茶色など、さまざまな色の綿が実っており、参加者からは「こんな色の綿があるんだ!」と驚きの声が上がりました。

10時から17時までという長時間のワークショップでしたが、ほとんどの参加者が最初から最後まで会場に残り、途中参加・途中退室の人も、それぞれが自分の綿や糸を仲間に託し合いながら作業をつなぎました。
誰かが途中で帰っても、別の誰かがその糸を受け取り、午後にはその糸が布として織り上がっていく、まさにバトンをつなぐような一日でした。

午前中は綿をほぐす「しのまき」から始まり、午後は糸つむぎ、そして織りへ。

最初は「均一にできない」「糸が切れてしまった」と苦戦する姿も見られましたが、やがてそれぞれのペースで手が動き出し、笑顔と笑い声が広がっていきました。細い糸、太い糸、少しでこぼこの糸——それらが交わって布になったとき、どの布も本当に可愛らしく、どれひとつとして同じもののない、個性豊かな作品が並びました。

ワークショップの最後に、北原さんがこう話します。
「みなさん最初は、糸が太くなったり細くなったり、隣の人よりうまくできないんじゃないかと不安だったと思います。でも布になってわかったと思うんです。でこぼこの糸が、こんなに可愛くて、それぞれの布に特徴的なアクセントを加えてくれました。これこそ、みなさんの“個性”なんです。今日は本当に、本当に感動しました。ありがとうございました!」
その言葉に、会場のあちこちでうなずく姿が見られました。糸が重なり、布になるように、参加者の手と想いがひとつにつながった瞬間でした。

浦安でつむぐ、綿花プロジェクトの一年目

今回のワークショップは、浦安で多くの人が夢見てきた“綿花を育て、布をつくる”取り組みの記念すべき1年目。
これまで語られてきた「循環する社会へ」というテーマが、実際の手仕事として形になった日でもありました。会場には終始、参加者全員の熱意と笑顔が溢れていました。半年かけて育てた小さな綿が、糸と布になり、人と人を結んだ——浦安で始まったこの“綿花のある暮らし”は、これからさらに広がっていくことでしょう。

最後は完成した布を持って、アーティストも参加者も全員一緒に集合写真を撮りました!

ワークショップで作られたみなさんの個性あふれる可愛い糸や布は、2月に開催される浦安藝大のイベントで展示予定です。お楽しみに!